獣医師のお仕事は、病気の動物たちを治すものと思われがちです。
しかし、動物の遺体と専門に向き合っている獣医師がいます。
前回に引き続き、法獣医学のお話をしましょう。
前回の内容から見てね!
獣医師の仕事〜声なき声を聞く〜(1)
法獣医学とは?
みなさんは法医学という言葉をご存知でしょうか?
法医学とは医学に基づいて死因を特定する学問のことです。
ドラマ「アンナチュラル」でも、法医解剖医として、取り上げられましたね!
実は最近、獣医の世界でも「法獣医学」という学問ができました。
アメリカでできたこの学問が、日本にやってきたのは、つい最近のことです。
そして法獣医学の目的は、獣医学に基づいて、死因を特定することです。
刑事さんみたいでかっこいいであります!
法獣医学についてもっと掘り下げていこう!
日本における法獣医学
法獣医学が扱うのは、動物愛護・福祉と、獣医療過誤の2つです。
やさしく、説明していくであります!!
動物愛護・福祉
まずは、動物愛護・福祉的的側面からのアプローチです。
前回記事でもお伝えした通り、動物虐待は増加傾向にあります。
しかし、けがをした動物が、本当に虐待を受けているのか、それともただの事故なのか?
虐待や事件性の有無を見抜くのが法獣医学の務めです。
虐待でケガをさせても、事故として動物病院に来る飼い主さんがいるんだって、、、
獣医療過誤
残念なことに、動物の死因の一つに、医療ミスがあります。
多くの獣医さんが、1つでも多くの命を救おうと、努力をしています。
しかし、誤った処置によって命を落とす動物がいることも現実です。
これを見抜くのが、獣医療過誤の判定です。
死因として獣医療過誤があるかを判定する際は、第3者的な関わりをします。
裁判の時などに、法獣医学の観点から、証拠を提出したりするんよ!
なお、法獣医学には行政解剖と司法解剖の区別はありません。
つまり、事件性の有無にかかわらず、死因究明のための解剖は、基本的に法獣医学者が行います。
法獣医学の役割は、生物学的兆候やその他の物証を分析すること、動物の痛みや苦痛を客観的に評価することにあり、犯人探しは獣医師の役割ではありません。
あくまでも、死因の究明が仕事なのであります!!
獣医師は変な先入観で情報を決めつけてはならないのです。
まとめ
法獣医学を始め、獣医療は人医療を追うようにして確実に発展しています。
虐待を見抜く方法として、法獣医学では、飼い主さんとの対話からヒントを得ます。
動物虐待の対象は人と動物が関わるところすべてです。
日本では、約7割の獣医師が動物虐待の疑いを持ったことがあるとのデータもあります。
動物虐待は、あなたの身の回りにも潜んでいるかもしれません。
動物の遺体からヒントを得て、次の命につなげることも大事な仕事であります!!
法獣医学はまだ、大学でも扱っているところは少ないんだ。
獣医師がいち早く虐待を見抜くためにも、将来的に獣医師全員が学ぶべき学問であります!!
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